劇場空間

元気だして行きまっしょ。 機械も長く使っていると、動きが鈍くなります。油をさして、動きを良くしてあげないと。オリーブのように、豊かな実を育てられるブログにしたいです。

玉三郎の新春特別舞踊公演、松竹座。

  

      

  待ちに待った、玉三郎の特別舞踊公演に行ってきました。

お正月が来たのだと、実感出来た、華やかな舞台です。

松竹座の正面玄関を入ると、獅子舞が迎えてくれます。

頭をがぶり、テレビの「ごちそうさん」で観たものと同じ光景。

 お正月の一日に、神社で引いた、くじ運の悪さを、幸運に変えて

くれるようで、お祓いを受けた感じ。

友人が、ヴィザで、18000円の入場券と15000円で申し込んで

くれていたので、良い席が当たって、それもラッキー。

松竹座は、満員御礼の札がかかかっていて、さすがに玉三郎の人気は

絶大なものです。

綺麗処の芸者さん、舞妓さんの晴れ姿もみられました。

けれど、玉三郎の美さにかなうものはいません。

舞台の幕間に、場内が明るくなると、一斉周りの人が見えるのですが、

私も含めて、これほどの違いがあるものか、と目を疑いたくなるほど、

舞台の玉三郎の、色艶、美しさ、この世のものではない、と確信する以外には

ないのです。

共演の七之助も、玉三郎についていこうと、必死に踊るのですが、とても玉三郎の

魅力にはまだまだ、ほど遠い。

でも無理はないのです。

積み上げられた美しさ、年齢を重ねて、どうすれば美しく見えるかを、研究に研究を重ねて、身体も心も作り上げた美の世界は、孤高の美、なので、誰も真似の出来ないもの。

そして、一回限りのもの。

昨日、明日に見せる玉三郎の芸とは、違う永遠のものなの。

 七之助も、一人で舞台立つ、最期のお染、久松の二役では、十分に良く踊って、

色香も発揮していました。

 そこに、玉三郎が登場すると、その華やかな色香が、がくっと落ちてしまうのです。

しかし、これは七之助にとっては、精進の目標が更に遠く、希望がさらに大きくなっている証拠であって、きっと将来は,素晴らしい女型に育ち、踊りの旨さを、更に磨いて行けるでしょう。

舞台の装置、美術も、玉三郎の演出だと思われるのですが、日本の象徴的で、大胆な美しい舞台で、目を見張る思い。

正月初めの目の保養にも一役買っていました。

玉すだれって、可愛くて、華やかで、粋で、冬のはずのお正月が、新春と言われるにふさわしいものです。その玉すだれがふんだんに使われて、お客を暖かくもてなしています。

パンフレットにもなっている、藤娘は、出し物の中でも、最高で、玉三郎と七之助の二人での

共演は、藤棚から、藤が垂れるように咲く様の美しさ、可憐さを見事に表現していて、素晴らしかった。

お芝居でも、舞台にしても、見終わった時に感動もひとしおながら、時間を置いて余韻がり、更に

愛しく思えるのは、その舞台が放つ力の強さにもよるのですが、玉三郎の舞台は、いつも

どれも、眼にやきついて離れることはない。

どの一瞬も、渾身込めた魂の演技で、観客をひきつけるからでしょう。

あの眼が、あの憂いが、あの体の動きが、あのすべてが、眼に浮かんできて、心を熱くさせるのです。