劇場空間

元気だして行きまっしょ。 機械も長く使っていると、動きが鈍くなります。油をさして、動きを良くしてあげないと。オリーブのように、豊かな実を育てられるブログにしたいです。

松竹新喜劇、60周年記念公演

 

9月の松竹座は、松竹新喜劇60周年記念公演で、お芝居の間に、口上がある。松竹座の歴史を飾る、今は亡き人々の顔が舞台に。彼らの弟子で、今は劇団を離れている人達の挨拶、劇団員の紹介など、正面にいる、3代目渋谷天外と藤山直美が普段のリラックスした調子とは、全く違って、神妙に、真面目な挨拶をしていた。

 招かれて、参加している役者さんたちは、和やかに、師匠の思い出などを語って、場内を笑わせる場面も。初日なので、ゆかりの関係者や著名人なども、観劇に訪れていたかもしれない。よくみかける、NHKのアナウンサーを見かけた。

最初のお芝居は、クリーニング店の主人と、練炭屋が犬猿の中で、顔を合わせれば喧嘩ばかりしているという話から始まる。クルーにング屋は、沢山従業員がいて、繁盛して金持ちという設定になっているが、父親の渋谷天外の当たり役だったのだろう。その頃は、クリーニング屋は新しい仕事で、脚光をあびていたのだろうが、現在に置きおきかえると、無理があるような気もする。

松竹新喜劇の真髄である、人情の泣き笑い、という点では見事。

口上の後の、作品は、藤山寛美の、18番「おはなのお六」を、藤山直美が演じている。以前にも、藤山直美で見たことがあるが、今回は芸に余裕が出来て、間の取り方も進化して、直美の「お六」を作り上げることが出来たという感じがする。藤山寛美の強烈な個性と天才的な演技を超えることは出来ない事をわかっていて、そのお芝居を守っていかないといけない難しさ、重責を痛いほど感じる。

 

 道頓堀の川縁に遊歩道が突き出している。大阪はこの水辺が憩いの場所に。フランス人が、中之島を流れる川が、セーヌを思わせると言っていた。水の都、大阪は、これからどんどん美しくなっていく。上方は、芸能の栄えた町、その復活と、世界をリードする人情の溢れた、「泣き、笑いの文化」を松竹新喜劇が担っていってほしいものだ。