劇場空間

元気だして行きまっしょ。 機械も長く使っていると、動きが鈍くなります。油をさして、動きを良くしてあげないと。オリーブのように、豊かな実を育てられるブログにしたいです。

歌舞伎座、昼の部

ホテルであまり寝られなかった。早い目に、朝食会場に行くと、おにぎりがまだ沢山あった。おにぎりか、サンドイッチの簡単なもの。この前は、早くになくなっていた。

歌舞伎座、昼の部は、奮発して、一番高い席。前から2番目の花道のすぐそば。

だけど、反対側なので、後ろからしか見えないかと思ったら、バッチリ見える。手に取るように見える。着物の刺繍の細かいところまで。役者の全てが見える。

花道を通ってくる役者は、とても大きく見える。

私のおめあては、勿論玉三郎。最後の出し物で、お正月らしく、正面に松、ずらりと、、三味線、唄いのひとは、18人。その下にお囃子が並ぷ。能ではなく、歌舞伎のオリジナルだが、能仕立てように、松羽目舞台になつている。茨城、という歌舞伎の創作。

茨城の、主人公は、茨城童子、という鬼。松緑役の、綱に、右腕を切り落とされ、綱を乳飲子から育てた、叔母になりすまして、右腕を取り戻しにやつてくる。

玉三郎は、老女に扮して、華やかではいないが、姿形が、美しく、しなやかで、素晴らしい。すぐそばから、じっとくまなく見させてもらって、幸せだった。

玉三郎が扇を使って舞うと、まるで扇が体の一部のように、自在に動く。

声も良く通って、素晴らしく、セリフの細やかな、色調と旋律、濃淡が、見事。

老女の美しさが全面に表現されていて、感無量。

着物が、頭に触れる位近くて、最高。

前は、セリフも、お囃子や、鳴り物、唄いなど、本当に贅沢に味わえるので、値打ちがあるなあと思った。

歌舞伎座の広い舞台が良くなって、この味わいは、たまらない。この舞台は、勘三郎が、待ち焦がれただけあって、役者に取っても、魅力的な舞台なのだとわかる。

松緑も男っぽくて、良かった。多分松緑の子供が一緒に出ていたのだと思う。

幸四郎と、金太郎のように。

なんといっても、玉三郎が、ほとんど、1時間半もの間、出ていて、舞もその中でたっぷり見せてもらったので、幸せだと思った。その上に、すぐそば。

手が繊細で美しい。着物は、他の役者のものとは、数段違うくらい、手がこんでいて、素晴らしいもの。南座で、衣装展を目せてもらったが、 素晴らしい衣装ばかり。最高のもの、本物しか、身にまとわない。

美的なものが、美そのものの玉三郎にふさわしい。

茨城童子に変わる間、鴈治郎と門之助が、出て合間を踊る。

鬼に扮した玉三郎のメーキャップがすごかった。私の前で、パタっと倒れて。幕が下りてから、起き上がり、何度も行きつ戻りつしながら、花道から、消えた。

昨夜買ったワインの残りを持参して、歌舞伎座で、穴子尽くしのお弁当を買って、客席で食べた。三階と違って、席の前も、横も広いので、ゆったりしている。

いつも、出て慌てて食べて来るのだけど、時間気にしないで、これもいい。

お正月にふさわしい、ワイン付きのお弁当と、玉三郎のすぐそばにいる幸せと、本当に贅沢なお正月です。