劇場空間

元気だして行きまっしょ。 機械も長く使っていると、動きが鈍くなります。油をさして、動きを良くしてあげないと。オリーブのように、豊かな実を育てられるブログにしたいです。

猿之助に、会いたさみたさで彦根まで

  

  

   猿之助に会たさ、みたさで、購入していたチケット、

  彦根まで日帰での歌舞伎鑑賞はやはり疲れます。

帰って来たのは夜中の12時半。ぐったりです。

松竹大歌舞伎の巡業で、猿之助と中車の襲名披露公演が

北から南まで、ずずずーっと続きいているのですが、

14年の前半の公演を、彦根の「ひこね文化プラザ」まで観に行ったの

です。

夜の部なので、日帰りは無理だろうと、ホテルを予約していたのですが、

終演が8時40分で、会館からの臨時バスにまだ空の席があることを知って

ホテルはキャンセルして、その日のうちに帰ることに。

バスは事前の予約制になっていて、200円の負担で乗せてくれるとのこと。

 遅い昼食を彦根で食べるおとにして、彦根についたのは3時20分頃。

城の方に歩いて、ネットで調べておいた、蕎麦屋に。

 以前にも何回か彦根に来ているはずですが、こんなにさびれていなくて、

もっと活気があったような気がします。

 城までは行かずに、お堀端の近くにある蕎麦屋を目指したのですが、

暖簾がかかっている殺風景そうな店の中に入ると、野郎が3人、カウンターだけの

店で、新聞と男ようの雑誌がカウンターに散らばっている。

ざるうどんの大盛りを食べている様子。

この店の前には、「釜揚げうどん」と書いてあって、うどんが美味しいのではないかと

思われた。

でも、私は蕎麦食いなので、ざるそばを注文。少盛りと大があって、会館で夜の弁当を売っているので、少盛りにした。

 卵一個ついてきて、450円という安さ。美味しい蕎麦とは言いがたいけれど、小腹は満足。

 もう一軒は美味しそうな店があったけど、定休日だったので、こちらを選んだのだけど、蕎麦の店はこの2軒しかネットに出てこなかったから。

 4時25分のバスに乗り遅れたらいけないと思い、JRに戻ったものの、どの辺にバスが停まるのかわからない。

 向こうの方に大きな観光バスが停まっているけれど、まさかあれではないだろうと

思っていたら、そうでした。

 歌舞伎の看板を持って、係の人が出て来た。

 名前を聞かれて、中に入る。

25分になっても、出発しない。遅れて来る人を待っている。

 予約者は、総勢10んにも満たない。

前に座っているお年寄りの女性は、「彦根でお芝居が見られるなんて。」と喜んでおられる。

なんでも、東京から彦根に引っ越して来られたとか。それの最近のことで、それまでは東京の歌舞伎座に通っていたそうだ。

「ご贔屓は?」と聞くと

「香川照之さん」だそう。

会場に着くと、早速お弁当を買った。すき焼き弁当は売り切れで、牛めしや鯖寿司、サンドイットなどはあったが、興味をそそられたのは、なごみ弁当、といういろんなものを食べたい人のためのもの。すき焼きがはいってるので、それを買った。

1100円のお弁当は、隣にあるステーキ弁当2500円の次に上等なものだった。

立派な大ホールで、段差があり、見やすい劇場だ。

 私の席は8番目で、前が通路になっているので、とても良い席だ。

地方公演なので、値段も7000円という手頃なもの。

 演目は「太閤三番叟」襲名披露の「口上」最期が「一本刀土俵入り」だった。

 太閤三番叟で、市川右近の舞踊が旨かった。

 笑三郎と笑矢が最初に出て来て、お能の舞のように動きのない舞い方をするのだけど、笑三郎はまだしも、笑矢の踊りが全然だめ。

 それだから余計に、後で出て来た右近の踊りが素晴らしかった。

振りを猿之助から学んでいるのだろうが、旨くなったなあ、と感心した。

 先日の、松竹座でも、右近が演じた、仏師はなかなか見ごたえのある演技だった。

右近も、スーパー歌舞伎で育った人で、声色と台詞回しが、猿翁さんに生き写しなのが

嫌いだったけれど、脱皮してきたのではなかと思われる。

「口上」の案内役は、秀太郎さんが務めた。早口で、何を言っているのかが聞き取れない所もあったが、本人の力は凄く入っていて、丁寧で長い紹介だった。

 何度も見ている、襲名披露の緞帳だけど、彦根の人達は、初めての人も多くて、前の方に来て、盛んにカメラに。記念撮影している若いカップル。

福山雅治が書いたものなので、感激しているよう。

中車というよりも、香川輝之が見たくてやってきた人も多そうで、今回の巡業では、

「一本刀土俵入り」の主役の駒形茂兵衛を演じている。

相手役のお蔦に、猿之助が。

口上で、猿之助が、「一本刀土俵入り」の作者である長谷川伸が、猿之助の祖父母の仲人でもあり、深い綱がある人で、澤瀉屋にとって、長谷川伸の芝居は、とりわけ大切なものだとの説明をしていた。

 女型の猿之助は、久しぶりだけど、この小蔦は、猿之助が子供の頃に、すっかり、雀右衛門から芝雀へと受け継がれた名演技をすべて自分のものにした、素晴らしい演技を見せてくれている。

 駒形茂兵衛役の、中車も、歌舞伎での身のこなしには、苦労しているけれど、新派でも、上演されることの多い、お芝居を主にしたものになると、役者の本領を発揮できる。

けれど、軽すぎるのです。それに身体が向いていない。力の強い相撲やくですから。

 最期の台詞は、涙を誘うはずなんですが。

以下引用。

 その茂兵衛が幕切れでいうセリフは、観客の涙を誘います。

「お行きなさんせ、早いところで、・・・仲よく丈夫でおくらしなさんせ。・・・お蔦さん、棒切れを振り廻してする茂兵衛のこれが、十年前に、櫛かんざし、巾着(きんちゃく)ぐるみ、意見をもらった姐さんに、せめて見て貰う駒形の、しがねえ姿の、土俵入りでござんす。」

 まさに聞きどころです。

ここの台詞が、涙を誘うほどではなかった。

この芝居の初演は、芝雀の父親である、雀右衛門、その際の茂兵衛は吉右衛門だった

のですが、現吉右衛門もこの役を大事にして演じています。

 吉右衛門には、とうてい歯もたたない。身体が細くて貧弱だし、この役はミスキャストだったようです。

このお芝居を、猿之助の小蔦で、吉右衛門の駒形茂兵衛で観たいものです。

帰りにも予約していたバスに200円払って乗り込んだのですが、市バスが、会館の前に来て、それからすぐに出て行きました。

市バスで帰ったら、最寄りの駅から最終のバスに乗れるのだけど、終演時間に間に合わないと思っていたのです。

残念。

私の乗っているバスは、予約した人を待って、15分後の出発なので、新快速は次の電車になってしまうのです。

彦根の駅で20分ほど待って、9時39分発の電車で帰らねばならなかったのです。

そういうわけで、夜中に帰るはめになり、タクシーも使わねばならなかったのです。

疲れました。明日は楽しみの「南座」での玉三郎舞踊公演があります。

 予定に向けて、いつも走っている感じがします。