劇場空間

元気だして行きまっしょ。 機械も長く使っていると、動きが鈍くなります。油をさして、動きを良くしてあげないと。オリーブのように、豊かな実を育てられるブログにしたいです。

新歌舞伎座開場「杮葺落し四月歌舞伎」

 

      

   新歌舞伎座の杮葺落四月大歌舞伎を観に行きました。

 猿之助さんがいないのは、寂しいけれど、あとは、看板役者を初め、歌舞伎界総出演の、滅多に見られない機会です。

朝早いのは苦手だけど、新大阪に早くついて、指定席を窓際に変えてもらえるか、聞くと、

詰まっているので、だめだと言われ、自由席に乗りましたら、空いていて、東京まで隣は空いた状態。新大阪発だと、自由席の方が空いていて、快適です。

東京には、12時過ぎについて、開演まで、時間は2時間半ほどあると思っていたのですが、

そういう感じではなかったのです。

山手線に乗り換えて、新橋で降り、東銀座に近いはずだから、と歩いていたら、方向がわからなくて、やっと地図があったので、見ていると、ビルの中から、若い女性が、地図あげます、と言って出てきました。

中は、観光案内所になっていて、歌舞伎の案内もあるから、というので、入ったのですが、

それから、歌舞伎の話になって、案内の女性2人と、歌舞伎役者の話など、盛り上がってしまって。

よく、チケットが取りましたね、なんて。彼女は、雨の中、おねりを見に行ったとか。

彼女が、絶対に、先に見て欲しいという、ソニービルの7階でやっている、4K歌舞伎の大画面。

今なら、昼食時で空いているから、勧められました。

お腹が空いているけど、その近くで、そばでも食べようと思いながら、教えてもらった道を歩いていると、銀座の大通りで、「みちば」というレストランを見つけて、お品書きをみると、3150円。

あの、和の鉄人、道場六三郎さんのお店です。

みちばの、お献立

時間ないから、無理だけど、明日、と思いながら、また歩いていると、金髪の男性が、

「髪、切ってあげるよ。髪切りたいでしょ。髪が切ってほしいと言っている。

カット時間すぐにやったげるから。」と言うので、

「そんな時間はないです。急いでいるので。」

「時間かかんないよ。すぐだから。」

「時間ないの。」

と言って、逃げるように、歩き出した。ソニービルはそのすぐ近く。有楽町の駅前の通りに。

ソニーの4Kをつかって、猿之助と勘九郎のインタビューをまじえて、歌舞伎の舞台を、4Kで撮影したものを、大型のスクリーンで上映している。

一階には、歌舞伎の衣装が展示されている。

ビデオでは撮影できない、臨場感のある画面で、奥行きが感じられ、迫力のある舞台の撮影が4Kの技術によって、表現できるようになっている。

それを見て、4階にも、歌舞伎の写真を展示しているというので、そこにも行ってみたら、商談中とかで、見られなかった。

また、歌舞伎座に向かって、歩いた。ゆっくり食事をする時間がなくなって、歌舞伎座の隣にある、蕎麦屋にはいった。

カツどんとそばの定食で580円。

歌舞伎座のとなりにある、ふじそば。

そばは美味しいけれど、とんかつが全くだめ。

安いから仕方がないわ。

開演15分まえに入った。

テレビでもやっていた、字幕付きのビデオというのは、1000円の所を、今は500円で借りられるもので、最初から座席の前についているのではなかった。

それを借りたい人は、携帯番号と、証明になるものの2点を提示して、申し込書に、書かないとだめなので、随分時間がかかって、借りたい人もたくさん並んでいて、しばらくは待っていたけれど、あきらめた。トイレに行く時間もなくなるから。

私の席は、一階席の、19番目、後ろの方だけど、まだ後ろに3席か4席あった。

20000円の席は、2階の後ろしかなくて、この席は、15000円だったので、安く、良い席があったと喜んでいたのだけど、音響が悪くて、声が聞こえにくい。

床を叩く音も、ぜんぜん響かなくて、新歌舞伎座の音響効果は悪いなあ、とがっかりしていた

席は、よったりしていて、前の席とも間を広く取っているので、楽だけど、舞台が遠くなっている。

私は耳が聞こえにくので、イヤホーンを借りるべきだった、と思ったり。

その上に、持って行った、オペラグラスは、二重に見えて、おかしくなっているので、片方だけ使って、見ないければならない。

私の席から

2部の最初は、「弁天娘女男白波」

尾上菊五郎の十八番芸で、前にも何度か観たことのあるお芝居。

しらざー言ってきかせあしょう、から始まる、七五調の名セルフで有名な、黙阿弥の作。

菊五郎の足が、ふらついて、屋根での立ち回りが、ぎこちなくて、身体が大丈夫なのかしら、と心配になった。以前は、もっとキレが良く、威勢が良かったのだけど、勘三郎や団十郎が亡くなって、すっかり元気がなくなったのかしら。

以前の菊五郎とは全く違う。

貸出ビデオをここにつける

白波5人男が、順に花道に、傘をさして出てくるのは、この芝居の見どころだ。

最初は、弁天小僧の菊五郎、そのあとに、三津五郎、女形の時蔵、弁天小僧の相棒役の、左団次、最期は、吉右衛門。

それぞれに、個性を出して、かっこよく出てくる。吉右衛門が素晴らしかった。

男っぽい形が、魅力的で、あの型はしようとしても、なかなかできない。

五右衛門を、もじって、最期は、南禅寺の楼門の上で、絶景かな、のセリフ。

海老蔵や、中車が、猿之助襲名興行で、演じているが、吉右衛門の演技は、堂々として、迫力十分。

次は、待ってましたの、玉三郎の舞台です。

どこかで観たことある、と思ったら、去年の4月に、南座で、獅童さんを相手役にしての、「忍夜恋の曲者」将門です。

4月の舞台は、松緑が、将門を務めています。

玉三郎が、花道のせり上がりから、煙をあげて、出てきます。場内は暗くなっていて、怪しげな明かりで薄暗い照明で、美しい姿が浮かび上がる。

この世のものではない、美しさは、玉三郎の独壇場ですし、これが、浄瑠璃、常磐津の、色っぽい声と、悲しいまでの抑揚をおびた、色と寂とのコラボに乗って、玉三郎の舞踊劇ですから、これを見に来るだけでも、目的は十分なのですが、私とすれば、将門を、猿之助が踊れば、との思いがありますが、松緑も、十分大役を果たして、丁寧な踊りぶりでした。

あっという間の、30分ほどの舞台です。

夜の部は、6時10分から始まりで、2部が終わったのは、5時半。

その間に、築地の立ち食いの店に、と思っていたのですが、時間もなくて、お腹もまだそれほど空いていないので、いったん出て、また入りなおすという形で。

菊五郎の奥さんの富司さんや、幸四郎の奥さんが、一階の入り口に立って、ご贔屓筋への挨拶をされています。

歌舞伎の世界は、奥さんの内助の功次第だと言われるくらいで、お芝居の間中、こうして、毎日、出入口に立って応援をしてもらっている、上客への丁寧な対応をしなければならないのです。

3部の席は、3階席で、6000円の席なので、期待してなかったら、それも大違いで、

前から2番目の席でしたが、一階で観たのと変わりないくらいの大きさに見えて、声が上に上がるので、よく聞こえて、拍子打つ音も、響いて、この席の方が、良いくらいです。

ただ、席は狭く、前も狭いので、足が組めません。もちろんビデオはありませんので、今まで通り、イヤフォーンだけ。

一番前に、やっていきた、人が、後から来た人に、この席は私です、と言われて、一旦は出ていったのですが、案内人を連れて、戻ってきました。

その席は、最初に座っていた人に間違いがなく、席に座ってから、

「とんでもない人だ。笑われ者は、あっちのほう。私は良く歌舞伎座に来ているので、

間違うことなどない。わからない人は困りますね。」と隣の席の人に話しかけてます。

 3階の一番目の席を取れる人ですから、常連客に違いないのです。

最初の出し物は、仁左衛門の盛綱と、吉右衛門の秀盛役での「盛綱陣屋」随分長いお芝居です。

仁左衛門ならでは、の、智者であり、人情の細やかで熱い役どころ。これも、仁左衛門の十八番役どころでしょう。

長い時間を、どう退屈でずに、観客を引き込んでいくのかが、大きな課題だと、仁左エ門は語っています。

夜の部で、朝から、1部、二部、最後の3部ですから、通してみている人は、相当の疲れが出た頃。

まあ、東京に住んでいる人は、何度も足を運んでみる楽しみがありますから。

地方から、泊りがけで、来ている観客も多いのです。私もその一人。

眠気を覚ましてくれる、掛け声が飛ぶのも、この3階席から。

これがすごく良いのです。ばんばん、声がかかります。

一階で、見ていた時には、全く、掛け声が聞こえなかったので、随分静かなんだな、と思ってましたが、2部でも、こんな風に、3階から、声がかかっていたのですねえ。

先人の中に、勘三郎と団十郎も

舞台の最後は、歌舞伎十八番の「勧進帳」です。

団十郎さんの。十八番芸で、何度か団十郎さんでも見ましたし、今回演じる、幸四郎の勧進帳も、大阪に来た時に見て、素晴らしいと感激した思い出があります。

私としては、仁左衛門さんの弁慶が、最も好きなのですが。

人情に厚く、義経を慕う、弁慶をいじらしく、けなげに演じるのは、仁左衛門さんだけのもので、踊りっぷりが、豪快で、派手で、喜びを120パーセント表現する弁慶なのです。

いつも涙ながらに、観る弁慶を演じられるのは、仁左衛門さんだけだったのですが、

今後期待できるのは、勘九郎の弁慶ではないかな。

寄贈の緞帳の説明が5枚ほど。

テレビでも、幸四郎さんが、「悲しみを希望に、喜びに変えるのは、歌舞伎役者の仕事」だと言っているので、とても期待していたのですが、優等生的な演技というか、大人しすぎて、以前に見た時の豪快さがなくて、物足りなかった。

富樫役の、菊五郎は、こちらの役どころは、無難で安定した演技を見せてもらえたけれど、

弁慶を引き立てるよりは、出ているという感覚が強くて、互角以上の富樫なので、弁慶の情愛に心打たれ、関所を通す、富樫の人情熱い、内面が全然出ていなかった。

前の席の人も、「あれじゃ、だめ。もっとはでにあばれまわらなくちゃ、面白くない。」と隣の人に言いながら、席を立って行った。

まだ、始まったばかりだから、これから、様々な意見を聞いて、魅力ある舞台になっていくだろう。

歌舞伎は、10日目以降によくなると言われる。

何度も演じた持ち役で、簡単な打ち合わせ程度の稽古で本番に入る場合が多いので、息があってくるのは、しばらくして。乗って来るまでに、10日間くらいかかるからだろう。

2階に、お寿司を売っているのを、昼間見ていたので、お腹が空いて。

座る所がなくて、立って食べなくちゃいけないので、味わう暇なく、一気に。

700円で、お茶付だから、決して高くない。新歌舞伎座には、吉兆が入っているので、

予約を入れている人はそちらに。

700円の鮨か、お弁当を買って食べている人は、

日本画の巨匠達の絵画の前にある、椅子に座って食べている。

ここ以外に、もう一軒のレストランが入っているようだった。