七月大歌舞伎、招待券が来たので、昼の部と夜の部、連日で観に行きました。昼の部は、歌舞伎を観たことがないという友人と一緒に。
歌舞伎は、わかりにくいので、イヤフォーンを借りてもらった。いろいろと説明をしてくれるので、楽しめるかな、と思って。
二階の一番前の席をいつも取るようにしていて、それも端を選んでいる。
花道がよく見えて、幕間に出て行くのに便利だから。
通常、1人の時には、近くの「はり重」にかけ込んで、食事を取るのだけど、館内のお寿司を買って、客席で食べたら、時間のゆとりがあって、美味したった。
友人といると、いくらでも話があるから、時間をもてあますことがないのが嬉しい。
7月の歌舞伎は、中村歌昇改め、中村又五郎と、息子さんの歌昇への襲名披露の公演で、播磨屋の中村吉右衛門を初めとする一門の歌舞伎俳優と、仁左衛門さんを初めとする、松島屋の人達が中心になっての舞台公演。
昼の部の、引き窓で、我當さんが、濡れ髪長五郎という相撲取りを演じている。
足が悪くて、杖がないととても歩けないほどだと聞いていたのに、しっかりとした足取りで、お元気になられたようで、台詞回しも、情感があり、観客に涙を誘う、良い舞台になっていた。
棒しばりで、染五郎は、後ろでに縛られ、又五郎は、棒をくくりつけられて、盗み酒を飲み、上機嫌で舞う、という難しい舞踊、踊り上手の役者さん。
歌舞伎役者は、襲名を機に、一段と芸が飛躍する。それだけ、名前というのは、重い荷を背負うことになる。
昼の部の最後は、仁左衛門が、佐吉を演じて、やくざになっても、人をあやめたことなく、気の弱い優しい男が、故あって、盲目の赤子から育てた、子供を取り上げられようとして、思わず人を殺してしまう。
捨て身で、親分の敵を取り、島を預かるようになるが、子供の将来の為にと、吉右衞門から諭されて、子供を親の元に帰し、わらじを履いて、旅に出る。
着物姿は、仁左衛門さんの奥さん
寂しさを、安らげてくれるのは、、旅に出る以外にはない。
旅というのは「旅は道連れ、世は情け」、ふうてんの寅さんも、そうだけど、孤独感を和らげてくれるのが、旅なのだ。佐吉の心の寂しさを、仁左衛門さんは見事に。さすがだ。
翌日の夜の部では、義経千本桜の渡海屋、本当は、平家の知盛を、吉右衞門さんが。
1時間45分くらいあって、長すぎる感のあるが、衣装が素晴らしく、清盛も、テレビでやっているので、興味深い舞台になっている。
口上では、出演者全員の、又五郎さんに関する、裏話なども聞け、ウィットにとんだ、話が面白い。仁左衛門さんのスター性が光っている。
佐吉と知盛、昼と夜
吉野山、道行き初音旅は、静御前の、鼓の皮が、母狐で出来ていて、その子供が、靜御前の供、忠信として、二人の道行きの舞を中心に、清元、常磐津の音曲をバックに展開される。忠信を、又五郎が舞う。上手だけれど、ここでも、仁左衛門が出てくると、すっかりお株を奪われた感。
だって、仁左衛門さんが、なんと、3枚目の早見藤太を演じている。大柄の仁左様が、メークアップもおかしく、踊りの動きも、滑稽で、笑いの渦を巻き起こして、舞台の主になっている。こんなに3枚目の仁左衛門を観ることが出来ることは、まずないこと。
これだけで、充分。
先代の又五郎
最後の、河内山まで観ると、9時過ぎるので、美味しい物を食べることを選んで、松竹座を出た。染五郎さんの、河内山もきっとおもしろいだろうな、と思いながら。