劇場空間

元気だして行きまっしょ。 機械も長く使っていると、動きが鈍くなります。油をさして、動きを良くしてあげないと。オリーブのように、豊かな実を育てられるブログにしたいです。

舟木一夫45周年記念公演

http://www.aiesu.co.jp/Istarento/FK_2.htm 

 10月の新歌舞伎座は、舟木一夫の45周年記念公演が開催中だ。母は、舟木のフアンで、リサイタルは勿論のこと、デイナーショウなどにも、一人で出かけていたが、最近は付き添いがいるようになり、私がお供した。

 観客は、ほとんどが中高年層で、圧倒的に女性が多いものの、中に男性の姿も見える。

土曜日の夜の部にしては、後部座席に空席が見えるが、二階、三階席は、下から見た限りでは満席のように見受けられた。

 一ヶ月公演を連日満席に出来るのは、舟木だけだと聞いたことがあるが、以前に観た時には、ステージがプレゼントの数々で山のようになっていた。今回も、歌い始めると、次から次に、花束やプレゼントの紙袋を持った人達が、握手をしてもらう為に、舞台下で待っている。舟木は、もらったプレゼントをかかえて、歌うと、ステージに作られた台の上に並べて行く。最初に手渡す人は、しっかりと握手してもらえるけれど、次から次に渡す人達は、プレゼントを持ちながらなので、ちょこっと手を合わせる程度、どの人もおとなしく真面目そうなフアンばかりで、渡し終えると、かがみながら席に帰って行く。

 舟木と共に、歩んで生きた人達は、定年を迎えて、年金生活に入っている人や、これから年金生活に突入する人達が主流なので、舞台公演を観に来るのも大変なのではと思うのに、高価な花束や、プレゼントまで買ってくるのは、大変なことだと思ってしまう。

 普段の生活は切りつめて、舟木に会いに来るのを楽しみにしている人達が多いだろう。

以前には、チケットが早くから完売済みだったけれど、高い席が残っていた。劇場はどこでも平日の昼間の方が、よく売れている。主婦や職場をリタイアした人達は、昼間が暇なのだ。

今、年金問題が揺れている。今は20パーセント以上の人が無職世帯、これから40パーセントが無職世帯になると言う。年金をもらって、無職ではいられなくなる時期が来るだろう。仕事にかり出される高齢者の旦那さんを送り出した主婦達は、相変わらず、昼間に劇場に足を運ぶのだろう。プレゼントを下げて、心の恋人に会いに、いそいそと。

 舞台の舟木は、相変わらず、若々しく、髪も豊で、声に幅と奥行きも出来て、ボリウムがあり、益々うまくなって行く。1時間の歌の部は、あっという間に過ぎて、また明日にも、来たいわねと、母は上機嫌で「絶唱」をうわずった声で口ずさみながら、劇場をあとにした。

 「今日一日、楽しかったわ。」と喜ぶ母の顔を、出来るだけいつまでも見たいと思った。